HER VOICE

上演6年目を迎える、舞踊家竹屋啓子のライフワーク。サミュエル・ベケットの『幸せな日々』の膨大なせりふの合間に書き込まれた「ト書き」を再現し、ベケットの生地ダブリンの演劇祭(2017年10月)で「演劇の巨匠への類まれなオマージュ」と評価された。2018年、共演者に大月秀幸を迎えて、さらなる飛躍をとげた新バージョン。
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竹屋さんは空間を鋭く切る動きのみで、まるで時間と闘うように演じていく。しかも腰から下を砂に埋めて(砂は私の主観で実際は切り穴)。そして前半の終了部分で突然立ち上がったのだ。これは衝撃的で生きるエネルギーの結実かと思われた。後半は体が埋もれて首だけが地上に残る。従って上半身も手も動きが封じられ顔だけの演技となる。しかし悲壮感はない。淡々と日常を、死を迎えるまで生の営みを続けて行くかのようだった。生と死そして時間を深く考えながら帰路についた。観る側と同様に演じる側にも大きな思考を促すドラマがベケット作品の特徴なのだ。

(石澤秀二/演劇評論家)

theatre company KAMOME-ZA 2019

佐藤信 (劇作家、演出家) の個人劇団「鴎座」2019年度の repertory program

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